No15 税務特有のリスクA

 

前トピックから引続き、税務調査で顕在化しやすい、税務特有のリスクについて書いていきたいと思います。

交際費以外にも、社長(会社)が何も意識していなくても経費(損金)にならないというものがあります。それは「寄付金」です。 
寄付金と聞くと、「うちは会社で寄付なんかしてないよ」と思われるでしょうが、税務上の「寄付金」は違います。簡単に説明すると、法人税法上の寄付金とは、

・タダであげる
・本当の金額よりも安くしてあげる

ような行為全般を指しています。

怖ろしいことに、税務上の「寄付金」と認定されると、経費(損金)にならないどころか、タダでもらった・安く受取った相手方にも税金がかかります。
実務上はよく親子・関連会社で起るので、わかりやすいケースで説明しましょう。

親会社が買ったときの値段で1億円の土地を持っています。今は土地が値下がっていて、土地の時価が7000万円とします。子会社に7000万円(時価)で売れば、3000万円の売却損を計上することができて、節税になるのですが、ここまでは問題ありません。(少なくとも「寄付金」の問題にはなりません)
ここで社長が色気を出して、「もっと土地を安く売ればもっと節税できる!」と思い、3000万円で子会社に売却したとしましょう。時価は7000万円ですから、3000万円で売ると4000万円分が寄付金と言われるのです。誰に対する寄付か?もちろん子会社に対してです。
このような場合、4000万円のうちほとんどは経費(損金)にできないばかりか、子会社に受贈益として同じく4000万円分が課税されます。

このようなケースではなくても、親会社と子会社が同じスペースに入っていて、親会社の名義で事務所を借りているとしましょう。子会社は親会社に使用している面積分の家賃を支払うべきなのですが、支払っていないと、親会社の子会社に対する「寄付金」として、受取っていない家賃分について税金がかかるのです。
ただ家賃を取っていないだけで余計な税金がかかるのですから怖ろしいことです。実際には儲かっていなくても税金が課される、そのほとんどは税務調査で顕在化するのですから、いかに税務調査が怖いものかおわかりいただけると思います。

交際費と合わせて、寄付金と調査官に言われないよう、普段から税務処理には気をつけなければならないのです。