No28 重加算税の要件とは?

 

8月に入り、税務調査の最盛期に入りました。

税務調査で指摘される税務処理上の誤りは、会社によって多種多様なのですが、共通する問題点があります。それは「重加算税」です。

重加算税とは、通称「ジューカ」と呼ばれており、払うべき税金が35%も上乗せされ、さらに延滞税(税金の利息部分)が高くなるという、まさにダブルパンチです。

国税庁の最新の発表によると、税務調査で重加算税が課される割合は「20.6%」にもなります。つまり、5件の税務調査が行われると、1件以上に重加算税が課されているのというのが現実なのです。本当に恐ろしいことです。

もちろん本当に「脱税」など悪いことをしていれば、重加算税を課せられて当然、というわけなのですが、税務調査の現場では、そんな悪いことを認識がなくても、「重加算税だ」と調査官から指摘されるケースも多々あるので、細心の注意が必要なポイントです。

では、重加算税を課される要件というのは、どういったものなのでしょうか。ここでは、経営者として最低限知っておくべきことだけを書いておきましょう。

重加算税が課される要件は、法律で明記されています。

簡単にいうと、「隠ぺいまたは仮装」したことです。逆にいうと、「隠ぺいまたは仮装」をしていなければ、重加算税は課されないということです。

まず、「隠ぺいまたは仮装」という言葉から連想される(悪い)行為を想像してみてください。
「隠ぺいまたは仮装」という言葉は、考えてみると「故意=わざと」という意味合いを含んでいます。「故意ではない隠ぺい」も「わざとじゃない仮装」もありえないのです。

「隠ぺいまたは仮装」とは漠然とした言葉ですが、これを裁判所はこのように定義しています。

「「事実を隠ぺい」するとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを、「事実を仮装」するとは、所得・財産あるいは取引上の名義を装う等事実を歪曲すること」
(和歌山地裁昭52・6.23判決)

つまり、「わざと」何かを隠すことを「隠ぺい」で、「わざと」何かを書き変えたりすることを「仮装」としています。

こう聞くと、確かに悪いことをした会社が、重加算税を課されるのだということが、漠然とでもおわかりいただけると思います。