No33 「不当な税務調査の典型例」

 

前回紹介した「川崎汽船事件」のように、「不当な税務調査」がないとは言い切れないのが事実なのですが、今回は事件までとは言わないまでも、「これは明らかに不当だろう」という例を紹介したいと思います。

税務調査において、調査官に「これは間違っていますね」と指摘されたケースで、その内容や根拠に納得いかない場合があります。このような際には、当初からお互い冷静に、意見の食い違いを埋めていくべきなのですが、この協議が平行線のまま進むことも少なくありません。つまり、こちら(納税者)としては、調査官の言い分に納得できないケースです。

このようなケースでは、最終的に調査官も落としどころを見つけることができず、下記のような「威圧」をかけてくることもあります。

@「税務調査が長引きますよ」
経営者が嫌がる典型的な言葉です。ただでさえ得することがない税務調査で、さらに時間とられると思うと、誰でも心が折れそうになります。税務調査を不当に長引かせようとすることは、当然税務調査の不当性があります。

A「反面調査に行きますよ」
反面調査とは、取引先や銀行に対して税務調査を行い金額などを確かめる、税務調査の一環です。今までは反面調査に行かなかったのに・・・反面調査をかけて取引先・銀行との信用・信頼関係を失墜させることを前面に出して、調査官が威圧してくることもあります。

B「修正申告しないのであれば、税額が増えますよ」
最終的に、「修正申告であればこの金額ですが、更正となると全部チェックしなければならないので、税額は増えます」と言ってくる調査官もいます。

これら調査官の威圧的な言動があった場合は、冷静に「今言った言葉は、私を威圧しているのですか?」と確認する必要があります。

「威圧と誘導」に屈しないためには、経営者としては、下記のポイントを知っておかなければなりません。

・税務調査はあくまでも任意であること
・質問検査権の範囲
・更正と修正申告に税額等の違いは、法的にないこと
 
 脅しに屈しない理論武装も必要だということです。