No43 「改正で知っておくべき点A」

 

前回から引き続き、今年から適用になった「税務調査の手続き」の改正について解説します。

最近は、会計ソフトへの入力だけではなく、取引先との請求書等のやり取りもメールで行われることが当たり前となっています。

以前の税務調査では、膨大な紙の資料を調査官に提示することもありましたが、昨今はペーパレス化の影響で紙の提示が減っています。

しかしここで、税務調査において新たなトラブルが起ることもしばしばあります。たとえば、調査官が「請求書など取引先とのやり取りを電子で行っているのであれば、パソコンを触らせてください」と要請してくるようなケースです。

ここで調査官にパソコンを貸してしまうと、ヒドいケースでは「ファイル復元ソフト」などをインストールされることまであり、税務調査でここまでやっていいのか?というトラブルが発生することもあるわけです。

以前はこの点については、何も規定がないため、何が正しくて何が悪いのかの切り分けが不明確だったのですが、国税庁のサイトでは、その区分が明示されました。

質問:
「提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。」

回答:
「帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。(注) 提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。」

このように明記されたことで、

・パソコン自体を調査官に触らせる必要はない
・原則として必要なデータを画面で見せればいい
・プリントアウトが必要な場合もある

となりましたので、調査官がパソコンを触りたいと言っても「画面で見せます」と切り返すことができるのです。