No63「守秘義務と個人情報」

 

前回から引続き、調査官の守秘義務を解説し、それに加えて個人情報保護法との兼ね合いを説明していきましょう。

前回は、公務員全般に課されている守秘義務まで解説しましたが、それに「加えて」国税職員に課されている守秘義務の法律があります。

国税通則法第126条

国税に関する調査(不服申立てに係る事件の審理のための調査及び国税の犯則事件の調査を含む。)若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、 法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和44年法律第46号)の規定に基づいて行う情報の提供のための調査に関する事務又は国税の徴収に 関する事務に従事している者又は従事していた者が、これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、これを2年以下 の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

つまり、調査官には2重に、かつ強い罰則規定があるので、秘密をちゃんと守るのを前提に税務調査を行っているというわけです。

また会社は通常、お客様の秘密を保持することも多く、その秘密を開示することに抵抗がある経営者も多いと思います。

例えば、保険代理店などはお客様の保険の情報を扱っているわけですし、小売店はお客様の購入履歴のみならず、住所などの個人情報を扱っているわけです。
この点、税務調査において個人情報保護法との兼ね合いを心配する経営者もいますが、法律では下記のように規定しています。

個人情報保護法第16条第3項
前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令に基づく場合

個人情報保護法第23条第1項
一 法令に基づく場合


個人情報保護法の適用除外である、この「法令に基づく場合」という規定に、税務調査が含まれているということなのです。

会社に守秘義務があるから、また個人情報を取り扱っているから、という理由で、税務調査での情報開示は断れませんので、注意してください。