前回から引続き、不服申立てについて解説していきましょう。
不服申立ての手続きは具体的に、異議申立てと審査請求に分けることができます。
処分から2ヶ月以内に税務署に対して申立てを行うのが「異議申立て」、国税不服審判所に対して申立てを行うのが「審査請求」となります。
異議申立ては、同じ税務署によって(実質)審理が行われます。
これは通常、担当調査官を変えて再調査を行うものです。
異議申立てにおける審理は、決定までに1ヶ月と非常に短く、また最終決裁者である税務署長が同じため、納税者側が勝つ確率は極めて低いといえます。
異議申立ての決定内容に不服がある場合、納税者は審査請求を行うことができます。
また、青色申告者に対する処分であれば、異議申立ての手続きをせず、直接審査請求を行うことが可能です。
国税不服審判所の審判員は国税職員が多いのですが、最近では外部からの登用も進めていることもあり、課税庁側寄りの裁決を下すことは少なくなっているように感じます。
審査請求の結果(裁決)、それでも不服がある場合、裁判所に対する申立てを行うことになります。
これ以降の手続きは、裁判(訴訟)になるのです。
さて、では不服申立てを行えば、どの程度の割合で納税者が勝てるのでしょうか。
実はこの数字は国税庁のホームーページで公表されています。
「平成24年度における異議申立ての概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/igi_h24/index.htm
「平成24年度における審査請求の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/shinsa/index.htm
「平成24年度における訴訟の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sosho_h24/index.htm
この公表資料から把握できることを簡単に説明しておくと、納税者側が全面的に勝つ(全部認容の)確率は、
異議申立て:1〜2%
審査請求:4〜5%
訴訟(裁判):10%以下
となっており、非常に低い確率であることがわかります。
この確率と、争う金額、税理士や弁護士費用まで考えて、不服申立てをするのか判断する必要があるのです。